松葉杖の体験談

松葉杖の体験談では、皆さんの体験をご紹介しています。

 

私が松葉杖を使うことになったのは、バイト中に足の筋を痛めた為です。折れたりしたわけではなかったので、当初は湿布を貼り、包帯を巻いてもらっただけだったのですが、歩こうと足を着くと激痛が走り、あまりの痛さに涙が出るほどで、寝起きもままならなかったので、松葉杖を貸して下さいと自分からお願いしました。いっそのこと折れてしまっていた方が固定されて楽なんじゃないのかとの思いました。
小さい頃からお世話になっている馴染みの接骨院で診てもらっていたのですが、施設も古い為、病院で使用するアルミ製の軽量の物ではなく、昔ながらの木製の物でした。使い比べてはいないのでよく分かりませんが、慣れるまでは左右同時に杖を出せず、歩くのも手間取り、駅の階段などもどうやって昇り降りすればいいんだろうと最初は怖い思いもしました。
それでも松葉杖を使うことで足への負担が軽くなり、立ちっぱなしの飲食店での仕事も何とかこなせました。自転車に乗る時は腕に松葉杖を抱えて走り、道行く人に奇妙な顔で見られたものです。階段も体重のかけ方などが分かると案外スムーズに昇り降り出来るようになり、何事も経験だなと思いました。
電車に乗っている時は、直ぐに降りる為ドア近くに立っていても、わざわざ席を譲ろうと声をかけてくれる人がいたりしました。買い物をしている時は、お会計が済んだカゴを運んでくれたり、そのあと自転車の所まで運んでくれる店員さんもいました。バレーボール観戦に行った時は、入り口から席まで案内係りの人がずっと一緒に付いて来てくれ、人とぶつからないように気を配ってくれました。
そんな風に折々の場面で人の優しさや温かさに触れることが出来、心がジーンと熱くなりました。もちろん怪我などせず、元気な体でいるのが一番ですが、その立場に立たされないと分からなかったり、感じなかったりすることが沢山あるんだなと勉強にもなりました。頭で考えたり、言葉に出すのは簡単でも、誰かに手を差し伸べる時って結構勇気がいります。私はこれが良い機会になって、車椅子の人や、目の不自由な人に、何かお手伝いすることはありますか?と気軽に言えるようになりました。まさにケガの功名かなと思っています。


 

 

二十数年前の出来事ですが、二人とも仕事を持っていたので結婚した春には長い休みが取れず、新婚旅行も2泊3日の短いものでした。と言うわけで「夏には思いっきり旅行をしよう」という事になり、登山好きだった私達は、東北の山登りと観光・温泉めぐりの旅を企画しました。
途中の工程までは順調に進み、山に登り、降りてきては温泉に浸かり、また別の山へバスで向かうという事を繰り返していました。ところが最後の目的地でトラブルが起こりました。レンタサイクルを使って観光地を回っていた時の事です。登山靴のひもがペダルに引っかかったらしく、私が転倒して右足の甲にひびが入るという大けがをしてしまいました。仕方なくその地元の病院でギプスをしてもらい、松葉づえをとりあえず一本借りることになりました。
高校時代に一度足を骨折し、松葉杖は使ったことがありました。しかし、東北から松葉杖をつきながら帰る、しかも新婚旅行の帰りに松葉杖をついて帰ることになるとは思いませんでした。
高校時代のように、家の周りだけならよかったのですが、東北から神戸まで帰らなくてはなりません。と言うわけで、松葉杖をつきながらエスカレーターでの上り下りをすることとなってしまいました。それでなくても下りのエスカレーターは乗るタイミングがうまくつかめないことがよくある私にとっては、松葉杖をついての下りエスカレーターは最高難度の難関でした。
これなら松葉杖がない方がまだ安定ができそうだったので、妻に松葉杖を持っていてもらって、片足と両手で手すりを持って何とか乗り込み、降りるときにはまた片足でジャンプ、すぐに松葉杖を渡してもらうという夫婦曲芸のような事をしながらなんとか神戸まで帰ってきました。
しかし、やはり平地は松葉杖がないとギプスをした足が地面についてしまい、時々激痛が走ることがありました。こんな時には「松葉杖様々」でした。
何とか我が家まで帰ってきましたが、しばらくは「東北から一緒に帰ってきた松葉杖」が私の歩行を助けてくれました。
しかし、これは東北の病院から借りたものです。近くの外科でもう一度診てもらい、その病院で新しい松葉杖を貸してもらいました。そして、東北からずっと私を助けてくれていた松葉杖は、「宅急便」で東北へと帰る事となりました。妻の話では「松葉杖一本を宅急便の窓口に持っていくのは恥ずかしかった」と言っていました。それでも東北から神戸まで私を助けながら長旅に付き合ってくれた松葉杖、無事に病院にたどり着くことを祈っていました。